14・宰相の妻(一応)はデート準備中①

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 この王都すぐそばの屋敷で働く使用人さんたちは、基本的にフォルスターの本家で長く勤めてきた人たちなのだと、使用人たちを取りまとめる執事のハーバーさんが言っていた。  ということは、今私を取り囲む三人の年上メイドさんたちもリシャルト様とは長い付き合いということになる。  一人は私の髪のヘアアレンジをしてくれ、もう一人はメイクを施してくれていた。最後の一人は着ていく上着の用意をしてくれている。 「せっかくのお忍びですので、奥様の髪色が目立ちにくいように帽子でも被ります?」 「……そうですね。ありがとう」  聖女だった時は基本的に、修道院を含む教会敷地内からはあまり出なかったので、周囲から見た目に関して何か言われるということは少なかった。  ニコラをはじめとした修道院や教会関係者は私の容姿を気にせずに接してくれたし、治癒された兵士たちは助けて貰った手前もあり目の前で悪口など言ってこない。そもそも、聖女は王族に並ぶような立ち位置なので、兵士よりも格上とされている。
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