14・宰相の妻(一応)はデート準備中①

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 若干、主であるリシャルト様に対して失礼な気がする言葉が混じっていたが……。聞かなかったことにしよう。 「女っ気がない……? リシャルト様、モテそうなのにですか?」  それはさすがにないだろう。  今まで得てきたリシャルト様の情報を総合すると、ありえない、と私は強く思う。    なんせ、リシャルト・フォルスター様は結構なスパダリ属性の持ち主だよ? 世の貴族女性たちが放っておくとは思えない。  大国・セレスシェーナの宰相に歴代最年少で就任し、フォルスター公爵家の次期当主。  しかも、見た目は金髪碧眼で物腰も柔らかい。片眼鏡(モノクル)をかけた姿はミステリアスで知的だ。 「そりゃもちろん! うちの坊っちゃまはモテますとも!」   「そうですわ! 擦り寄ってきたご令嬢を笑顔でスパッと切り捨てるのがリシャルト坊っちゃまです!」   「坊っちゃまは昔っから、奥方様にしか興味ありませんもの! そのほかのお嬢様方なんてそもそも視界にすら入っておりません!」 「……そ、そうですか」  メイドさんたちのあまりの熱量に気圧されてしまう。まるでうちの子自慢でもされているみたいだ。
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