第1章 オリオンという男。

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第1章 オリオンという男。

アルテミスの相手となる男、 オリオンというのですが…   極めて粗暴…ではあるものの 極めて美形でございました。     それ故に… 色恋沙汰は両の手ではとても数えきれぬ程経験しておりました。  しかし…   本人が本人なら妻も妻で… シーデ「私はヘラ様より美人なの。」 ヘラというのは大神・ゼウスの嫡妻〈=正式な妻〉でございまして… ヘラ「私より美人ですって…! まぁ極めて腹立たしい!」 ヘラの逆鱗に触れたシーデは、 あっという間に冥界へと送られ… ハデス「お前は馬鹿か?」 冥界を司るハデスとまさかのこんにちはをしてしまいました。 シーデ「…NO!」   冥界で叫び声を挙げたシーデでしたが 幾ら叫んでも後の祭りでした。 ハデス「己の愚かさを呪え。」 ヘルセポネ「あなた、恐いわよ。」   ハデスの隣にいるのは、 寵姫のヘルセポネで…ヘルセポネは、 ハデスの優しさに心惹かれ最初は嫌々でしたが次第に妻となる事を受け入れていったのでございます。 ハデス「ヘルセポネ、すまない。 冥界を司る神としては恐さも時に必要なのでな。そなたに恐い想いをさせてしまったか…」 ヘルセポネ「あたしと2人でいる時のあなたは優しいですからそんなに気になりませんけど…ね。」   シーデの悲しい叫びはハデスとヘルセポネのラブラブぶりに消されました。 オリオンは妻の死などそれ程気にならないようで次の恋を探していました。 オリオン「独身貴族となったからには 次の恋を探すとするか。」 あらあらまぁまぁ… シーデが聞いたら怒り心頭に発すとなるでしょうが…本人は冥界で絶望的な日々を過ごしていますのでオリオンどころの騒ぎではありませんでした。   シーデ「何なの?これは…。 ハデス様、私と恋をしませんか?」   シーデの美貌はお墨付きですが、 ヘルセポネの事が大好きでヘラに喧嘩を売った事により冥界へと送られたごう慢女となど… ハデス「誰が恋などするか!」 シーデ「そのような冷たい御言葉 あんまりですわ…。」 シーデの悲しみは深まるばかりですが オリオンがそんな事など知るはずなく オリオンは諸国を歩いておりました。 キオス島でメロペーという可愛い女性と出逢ったオリオンは一瞬で彼女を好きになりましたが… メロペーの父はオリオンが気に入らず ライオン退治をさせる事にしました。 しかし… 狩りが得意なオリオンは、 難なくライオンを退治しました。 すると… メロペーの父は… オリオンを失明させ 海へと放ってしまったのです。 メロペー「オリオン様~。」   美女を酔わせる美形・オリオンですが まさかのアクシデント発生により八方ふさがりかと思いきやまさかの… 次なる恋のお相手は、 アポロンとは対なる神ではありますがまた少し違った太陽神・ヘアトス。   オーケアノスと言う名前の島にいる 優しい神様である彼はオリオンの目を治療する事にしました。 すると… ヘアトスの妹であるエーオースが あろう事かオリオンにひと目ぼれして 東の神殿より太陽を空に出す役目を 放棄してまで恋路に一直線。 エーオース「オリオン、愛してる。」 但し… オリオンは粗暴な上に浮気者。 エーオースに溺愛されながらも あちらにこちらにそちらに… エーオース「オリオン、愛してる。」 しかし… やりたい放題のオリオンですが、 惚れた者の負けとは良く言うもので… オリオン「エーオースがいるから、 俺は自由でいられる。感謝している。」 溺愛するオリオンにここまで言われた エーオースは余計にのめり込み… 空から太陽が消えてしまいました。 これを危うく感じた大神・ゼウスは、 自らの娘で月と狩りの女神・アルテミスに様子を見に行かせました。 すると… アルテミス「エーオース、太陽はどうしたの?貴女が仕事をしないと月を空に昇らせる事が出来ないのよ!」 エーオース「私は太陽を空に昇らせるよりオリオンの隣にいたいの。」 これがアルテミスの運命を狂わせる 出逢いとなってしまいました。 ヘアトスは妹の不始末により、 太陽神ではなくなり代わりにアポロンが太陽神となったのでございます。 アポロン「俺が太陽神でアルテミスが月の女神か。これで良し。」 何が良しなのかは定かでありませんが アポロンだけは大満足でした。 しかし…
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