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第一章 出会い
窓の外を見ると雪女でも出てきそうな雪吹雪が降っている。
「兄ちゃん、これさ、家潰れたりしない?もしくは雪漏りとか。」
床暖房の効いた床で猫のごとくゴロゴロしている兄に聞いてみる。
「安心しろ。そんなやわな家じゃねえよ。」
漫画を読みながら親指を立ててくる。・・・・何がグットだよ。
「そっか。」
只今世間では冬休み、と呼ばれる時期でありながら、私達はどこにも出かけない。
・・・・雪だから出かけられないの間違いか。
テレビでは前に放送していた新選組のドラマの解説みたいなのをやっている。
今は新選組にとって一番盛り上がる池田屋事件。
「貴様!長州だな!」
「幕府の戌が!同志の恨み!今晴らさん!」
・・・でバッサリやられていく長州の人たち。名前なんだっけ・・・。あ、そうそう。吉田稔麿。
「いやあやっぱり新選組かっけえっすわ。」
「だって長州なんてー、タダのむさいおっさんじゃないですか?木戸孝允がちょっと良いだけで?」
「アキちゃんまじそれな!新選組って隊長格みんなイケメンだし?歴史の中でやっぱいちばん推せますねー。」
vtrが終わると同時に芸人がコメントしていく。
なんか日本人の敗者の生き様かっけえってなる気持ちもわかる。判官贔屓ってやつだっけ?
でも、今斬られちゃった長州の人は、幸せだったんだろうか。最後の最後まで罵倒されて、維新は起こせたのにそれもみられず。若くして死んで。100年後の人たちには罵倒されて。
自分が責められているわけじゃないのに、ちょっと胸が締め付けられる。
新選組はそりゃかっこいい。誠の一文字に信念を貫いた人たち。
新選組も長州も全然知らないけど、散々貶されてるのを見たら・・・・。
彼らって、幸せだったんだろうか。
「ねえ、兄ちゃん。」
「なんだバカ春風。」
「馬鹿じゃない!」
・・・失礼な。
「で?何?」
「・・・、長州の人って幸せだったのかな。」
「知らねえよそんなもん。っていうかお前に関係ある?バイト探しのこと考えたほうが良くね?」
「でもさ、勝手に悪役にさせられて。」
「同情ねえ・・。相手はしらんけど、いい迷惑じゃね?」
「なんで?」
兄ちゃんはたまによくわかんないことを言い出す。
「だってよー、俺たち、当たり前だけど人斬ったことないじゃん?もっと言えば今の政治家になにか物申したいことなんてないじゃん?そんな奴らに『可愛そう、』とか、『悪い奴』って思われても何だお前らってならね?お前で言ったら、就職のことなんて考えなくてもコネで就職できるやつに、『春風さん、可哀想。』って言われてるよなもんだぜ?相手からしたらこんな平和な世界に生きてる時点で同じ土俵に立ってない。いわば異世界。チート能力。」
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