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次の休み、純平は雪絵とシロと見知らぬ町にやって来ていた。ここはシロが生前過ごした町だという。 「やっぱり純平さんは優しいですね」 自分の頭を三角巾で吊って胸元に置いた雪絵が言う。手で頭を持っていると重たいらしく、両手も使えなくなってしまうので三角巾が便利だと知り合いに教わったらしい。その知り合いがどこの誰だかは詳しくは聞いてない。どうせあんまりいい回答が返って来ない気がする。 「首を吊ったのにその首を三角巾で吊るなんておかしいですね」 全然笑えないギャグだ。 「懐かしい景色だワン」 興奮しているのか、目ん玉をブラブラ揺らせてシロは辺りを見回している。 「たろうちゃによくこの辺散歩に連れてきてもったワン」 無傷なしっぽを激しく揺らした。だらしない口からダラダラとヨダレが垂れている。贓物もプルプルしている。 「ボクが轢かれた日、たろうちゃは初めて女の子に告白するって言ってたワン。それがどうなったのか知りたいんだワン」 「たろうちゃっていうのは、シロの飼い主さんなの?」 雪絵が尋ねると「そうだワン」とシロは返した。 しばらく歩いて更地の前にシロが立ち止まる。 「懐かしいワン」 「そのたろうちゃっていうのは、太郎ちゃんなのかしらね」 「違うワン。たろうちゃは太郎ちゃんじゃなくてたろうちゃだワン。小学校にまだ入ったばっかりの丸坊主のおめめがくりくりの可愛い子だワン」 そんなのどっちでもいい。どうせ太郎って名前の子で、ちゃんがついて、「ん」が省略されただけの話だろう。それに関してどうこうやり取りする気は無い。くだらない。 「んで?そのたろうちゃはどこにいんの?」 純平の言葉にたろうちゃについて話をしていた二人が振り向いた。 「それをこれからやるんじゃないですか」 「そうだワン。これからみんなで探すんだワン」 いやいやいや!ちょっと待て!俺の休日どうしてくれるんだ。シロの飼い主の無事を確認したいから、って雪絵とシロに頼み込まれてしょうがなく了承はした。そこに行くことも了承したが、それはあくまでも本人に会いに行くという前提のもとだ。探すとまでは考えていない。二人にはめられた。 そして彼等のことをと言っている自分がいることに気がついた。 「探すったって、シロが住んでいた家に行けばいいんだろ?」 純平の言葉にシロは黙ってしまった。 「どうしたんだよ、シロ」 純平の言葉に返事はない。しばらく時間が過ぎた。 「ここが家だワン」 シロの言葉に耳を疑う。 目の前には更地があるだけで家はない。この更地にダンボールでも敷いて住んでいたと言うのか。テントでも張って住んでいたと言うのか。もしかしたら、実はシロは捨てられてダンボールに入れられ、この更地に置かれていたのかもしれない。 「ここに家があったんだけど、もう取り壊されちゃったんだワン」
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