戦士

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「ただいま」 純平はいつものように帰宅した。 「おかえりなさい」 「おかえりだワン」 「おかえりなさい」 三人の声が重なる。 「ん?なにしてんの?」 三人がテーブルを囲み何かをやっていた。お迎えの言葉とは裏腹に、三人の視線はテーブルに向けられたままだ。テーブルの上に紙が置いてあり、そこに駒が沢山置かれていた。駒の色は雪絵側がオレンジで石詰側が黄色だった。シロの手元には両方の駒が何個かずつ置かれていた。 「これは軍人将棋です」 石詰が答えた。 「石詰さんが元軍人さんでしょ?だからってシロが持って来たんです」 おいおいおい!お前らだいぶくつろいでないか。まさか一日中やってたってことはないよな。それよりイヌが持ってきたと言っていたがどこで調達してきたんだ。盗んできたとか面倒事はやめてくれよ。 「懐かしいです。でも、自分歩兵だったんでヒコーキとか戦車とか見た事ないです。大将とか大尉とかそういうのもよくわからないですね」 石詰は嘲笑した。 「歩兵ってことは、陸上戦の最前線に出てたってこと?」 純平は尋ねる。 「我々一小隊しかなかったもので、人数がいなくて作れなかったんです」 「ん?」 こいつはなにを言っているんだ?日本の部隊の一小隊を任されていたんだよな。どこかの戦争に駆り出されて自分だけが命を落とした。そんなストーリーのはずじゃないのか。 しかし帰ってきて早々頭を使うのをやめた。目の前に訳の分からない奴らが三人いる時点で頭が痛くなる内容だ。これ以上深く考えないでおこう。 「やっぱり強いワン」 「さすがね」 少し緊張していた空気が緩んだ。試合が終わったようだ。 「これで石詰さんの76勝目だワン」 純平は呆れて聞こえないフリをした。今日は早く寝よう。
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