その後

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その後

純平は実家に戻っていた。両親が亡くなり一世一代のプレゼンを成功させ、実家に戻るという選択をした。 芝浦にも志田部長にも止められたが、状況が状況だけに最後には快く送り出してくれた。 純平が超純平神になったあの日、みんなの心残りが解消された日になった。 「お母ちゃんも父ちゃんも元気そうでぼきゅはそれだけでいいでちゅ」 思いやりのある水子ちゃんは芝浦と最上を見てそんなことを言った。水子ちゃんに関して、もしこうだったら面白いなと思っていた想像通りの結果が待っていた。 辞めるとき、芝浦に過去の写真を見せてもらった。頑張った純平くんになら、と黒歴史を見せてくれた。ガングロ金髪の正真正銘のギャルだった芝浦は、最上との別れをきっかけに過去を捨てるため路線変更をして今のようなキャリアウーマン風になったのだと言う。志田部長が芝浦が頼りになると散々言っていたのはこのことだったようだ。 田西は純平の代わりに仕事に復帰することが決まった。純平が俺の仕事を引き継ぐなら田西さんがいい、と二人を説得した。今の田西は見違えるようになっていると強く背中を押した。 純平の言葉通り、生き霊として純平の傍にいた田西は様々なテクニックを習得していた。顔つきからして全くの別人になっていた。 雪絵は最上を純平が倒したことが良かったようだ。最上のことを恨んでいないかと言えばそうではない。しかし自ら命を絶ったあの日のあのときから比べれば憎悪は薄らいでいた。冷静に最上を見ていられた。純平や他の面々と一緒に過ごした時間も心の傷を癒していたようだ。 みんなに対して純平はもうこれ以上できることはないという結論を導き出した。それであれば、純平の父の最後の心残りであろう家業を継ぐということも考えないといけないと思った。しかし自分の中でどうしても踏ん切りがつかなかった。どうしても受け入れなければいけない『あれ』がある。 純平は父と母を前に思い切って『あれ』について話してみた。 「俺、ボウズが嫌なんだよ。だから学生のとき野球部も諦めたんだ」 両親は腹を抱えて笑った。 「そんなことで嫌がってたのか」 両親にとってそんなことかもしれないが、純平にとってはそんなことではないのだ。 「別にボウズじゃなくていいんだよ」 「へっ?」 父いわく、昔はボウズというのが当たり前であったが、昨今の世の流れから最近では個性を重んじる方向に向かっているらしい。さすがに金髪はいないが、ボウズじゃない住職もいるという。だったらそれでいいと思い実家に戻った。
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