ユーゼロ商事オリエンテーション

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ユーゼロ商事オリエンテーション

純平は目の前のビルを見上げた。 入社前のオリエンテーションという連絡ではあったが、さすがに緊張する。田舎からでてきた身分からすれば、立ち並ぶ高層ビルや交通量の多さ、何より人の数に卒倒してしまいそうだ。空気が悪いと言えばそんな気もするが、雰囲気に飲み込まれてそれどころでは無い。耳に届く無数の音に、騒々しさを感じずにはいられない。 深呼吸をした。 大きなガラス張りの扉をゆっくり開けると、目の前には五基のエレベーターがあった。それぞれの扉の傍に数字が書かれていた。 どうやら止まる階が示されているようだ。 純平は戸惑いながらも、別に慣れてますよ、という余裕を装い対象のエレベーターのボタンを押した。 乗ったエレベーターは信じられないほどに静かだった。上昇していることを全く感じさせない。 目的の27階に到着した。リュックの肩紐を両手で握りリュックを背中に押し付けた。緊張している時の手持ち無沙汰感が少しは和らぐ気がした。前の人に続いて降りた。 絨毯が敷き詰められた廊下を進み今日の目的の「ユーゼロ商事」の看板を見つけた。入口の前に置いてある受話器を取る。中から扉が開けられ、ドアの向こうには沢山のデスクが並び、パソコンに向かった人が黙々と仕事をしていた。 会議室のようなところに案内された。 中は2列×3列でテーブルが並べられていて、既にそれぞれのテーブルに人が座っていた。今日のオリエンテーションを一緒に受ける同期になる人達だろう。 皆から都会風を感じる気がした。きっと社会人になって田舎から出てきたという負い目なら来るものだろう。 それから数人が増え、定刻になりオリエンテーションが始まった。
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