6人が本棚に入れています
本棚に追加
絶対書いてやるもんか!!!
「なんでッ!!!なんでそうなるんだよッ!!!!!」
怒号と何かがぶつかる音が聞こえる。
朝からやかましいわと思い、彼がいる部屋の扉を開けた。
部屋の中は、接客時であれば茶色の部屋に温かみのある暖炉の炎の赤、天井までミッチリな本棚に、赤いカーペットという高級そうな見た目をしているが、普段は寝ないように青緑っぽい部屋にしている。しかも机と椅子しかない。ストイックすぎるのもな〜と思う。もっと肩の力を抜いて、リラックスしないと。
「クロウ〜」
「今は入らないでくれるかな!?!?てかノックはしろ!?!?ゴホッゴホッ」
大声を上げたせいでむせているのは、不健康そうな見た目の男。こいつは『クロウ・エボニー』だ。
黒い長髪に、濃いめの黒いメッシュが入っている。首には黒と紫のヘッドフォンがあり、また黒い半袖シャツを着ている。ズボンもブーツも黒だ。……腰に銀色のチェーンがついているし、片方の腕に包帯を巻いてるから色的なバランスは取れている?どうだろうか。
それよりも目につくのは『大きな大きな白い翼』。
──彼の背中には、天使の翼がある。
……ま、まぁ片翼しかないのだが。というかそれで飛べるのだろうかと心配になるが、どうやら飛べるようだ。
「あーはいはい、それはこっちが悪ぅござんした!で!どうだったの?今回の世界!」
俺はワクワクしてます!という顔でクロウの真後ろに近づいた。
クロウはいつも通り原稿用紙とにらめっこしている。俺は大体の予想はついているが、何も知らないフリをして紙を見た。
「……この顔を見て想像はつかないか?」
クロウは顔をこちらに向けた。
目の下にクマがある。
目と目の間に刻まれた不機嫌のシワ。
ギリギリと音が聞こえてきそうなほどに噛み締められた歯。
うーん、わっかんないな〜〜〜〜!!
「つーかーなーいー!」
「……ふん。なら早く行きなよ。こっちは忙しいんだ」
「ヤダ〜!仕事ぶりを見させてもらうんだ〜」
「……めんどくさ……。見てもいいけど邪魔はするなよ」
「へへっ。お手並み拝見といこうかな」
最初のコメントを投稿しよう!