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数分後。
「あー!!!おまえっ!おまっ!!そんな動きをしたら!ああーーッ!!」
白いパジャマ姿の俺は、背中から生えた“にくにくしい”翼を即席ベッド代わりにしてクロウの後ろでのんびりしていた。すると突然、クロウが叫び声を上げた。思わず体を起こす。
「なに?寝てるんだけど」
「うるさい!!!ああ、もう!また書き直しだ!!」
クロウは原稿用紙をグシャグシャにし、そのへんにポイッと投げ捨てた。もうちょっとゴミ箱に向かって投げる努力くらいしろよとは思うが、クロウの忙しさを見て言うことはしなかった。
「あーあー、もったいない。資源は限られてるんだからさー、もうちょっと大事にしようぜ?裏に書くとかさぁ」
「魔法がかかってるのは表だけってことくらい、知ってるだろう!」
「んふふ、まぁね」
俺は立ち上がり、肉から骨がはみ出た見た目の翼を畳む。自分で生やしてて思うが、キモすぎるな、これ。
「なんで成功しないか、わかる?」
クロウの方に歩み寄りながら質問をした。
「だって、こいつらが────」
……と言いかけたところを、俺は遮る。
「『俺を出さないから。』……そうだろ?なぁ〜、ほら我慢しないで早く(俺を)出しちゃいなよ〜」
横からクロウの顔を覗き込む。サラリと後ろの髪束が動くが、気にしない。
「…………………………チッ」
不機嫌極まりないクロウは、小さく舌打ちしたかと思うと───
──ゴンッ!!
「い゛っっっで!!!!」
こいつ!!!頭突きしやがった!!!
しかも首を傾けるだけ!!!一番楽な方法で頭突きしやがった!!!
俺なんて場所が悪くて鼻筋に大ダメージを受けたというのに!!!
「こンの……!!」
俺はよたよたと後ずさりし、クロウを責め立てる。
「何しやがるんだ、クロウ!!暴力に訴えるなんて、お前も堕ちたな!!」
「ハァ?こんなに苦しんでるヤツが目の前にいるのに、煽りまくるからだろ。自業自得だ」
それともこのペンで目ン玉刺してやろうかとでも言うように、俺にペン先を向けた。
「自業自得ぅ〜〜〜???お前の作品の結末の方がよっぽど自業自得だろ!!」
「おまっ……!一番言ってはいけないことを!!」
思わずクロウも立ち上がる。
──ハハッ!あの運動不足が体を動かすなんて!いいぞ、こうなったらトコトン遊び尽くしてやる!!
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