ショートストーリーは突然に

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ショートストーリーは突然に

 急になにかをやり始めたかと思うと、大きな会場に集められた。  主謀者は、ネージュと……なぜか、シエルだった。 「はい! 『オブシディアン と不老不死の魔法』のメインヒロインの1人、シエルと!」 「はわわ……もう1人のメインヒロインでルクスさんの相棒を努めさせていただいているネージュです! 以後お見知りおきを」 「今日、集まっていただいたのは、物語が佳境に入りつつあるので、【宣伝】です!」 「ええっと……この物語を、まだ読んでいらっしゃらない読者様と、すでに拝読いただいている読者様に贈ります!」  会場内には、ジュースからアルコール。豪華な料理がフルコースで置かれている。  なぜか、普段のローブとは違い俺は紺のスーツ姿に、ネージュは白いドレス。シエルは……幽霊だから、変わらないが。  すでに溶け込むように楽しんでアルコールを飲んでいる学生が1人。いや、その姿でアルコールは駄目だろう。  俺の呆れ顔に気がついた様子のフィニスが手を振っている。 「こんな祝の席で、暗い顔をしてどうしたんだい? もしかして、アルコールの匂いにやられたとか……」 「そんなわけないだろう。そんな子供の姿で、酒を飲む奴があるか……」 「いやだなー。これは、ジュースだよ? ボクがそんなことするわけないだろう?」 「あら、本当にジュースみたいね。アルコールの匂いがしないもの」  なぜか、平然と混ざっているリベルテもいた。しかも、なんというか……服装が――。 「いやだわぁ……イイ男にそんなに見つめられたら、照れちゃうじゃない」 「いや……その格好について、どうなのかと」 「差別は、ダメよ~? イイ男の鉄則! そう思うでしょう? ウルフラム校長先生」 「ふむ……そうだな。私は、気にならないぞ。これも経験の差だな、ルクスよ」  ウルフラムは、魔法だけじゃなく人間としての器も大きかったらしい。  なぜか、顔を赤くするネージュもこちらに歩いてくる。どことなく足取りがおぼつかない。
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