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 肩が触れるか触れないかの距離を二人並んで歩くと、ギュッギュッと鳴き雪(なきゆき)が聞こえてくる。  涼也(りょうや)と付き合い始めてから二カ月が経ち、一緒に下校することが日課となっていた。  涼也は手袋を着けない性分らしく、寒い日は決まってポケットに手を入れていた。  手つなぎたいんだけどな…  暖かくなるまで無理かな…  私はそんな下心を抱きながら、涼也のたわいもない話をウンウンと笑顔で聞いていた。    私の家が近くなった時、私たちの足元に雪玉が投げつけられた。それも、続けて二度。  どちらも地面で放射状に砕け散ったのだが、その雪玉の一部がムートンブーツの隙間に入り込んで、イラつきを覚える。  投げてきたのは、二つ年下の幼なじみの真斗(まなと)だ。  真斗は春から中学生になるのだが、ランドセル姿の真斗はあと三年くらいは小学生で通りそうな風貌をしている。  「うわ~…美緒(みお)が男と歩いてる〜」  真斗はにやけ顔でもう一度、私の足元に向かって雪玉を投げてきた。  私は軽々と避けたつもりが、目測を誤ったのか、雪玉は私の膝下に当たって砕け散った。
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