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「冷てぇ…」
涼也は、雪玉をポイっと捨てて、濡れた手を雫を落とすように振ってから、両手をこすり合わせた。
そして、その手はまたポケットに…
気づけば私は手袋を脱ぎ捨てて、ポケットに入れられる直前の涼也の両手を握っていた。
ひんやりと冷たい湿った涼也の手。ずっとつなぎたいと思っていた手だ。
涼也は一瞬、驚いたように目を見開いたが、急に照れたようにはにかんで笑い、顔を背けた。それから、顔だけではなく耳まで真っ赤にして「美緒の手、温かいな」と優しく呟いた。
そんな涼也の様子を見てようやく私も我に返り、自分のした大胆な行動に突然緊張し始めて、心臓が早鐘を打った。
どんどん顔が熱くなっていくのを感じて、涼也の冷えた手を頬に当てたいくらいだった。私の顔や耳も、涼也に負けないくらい赤いに違いなかった。
思い返せば、いつでも頬を緩ませてしまうような、甘い青春の一ページだ。
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