据え膳はいかが

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 シャワーを借りたのはいいけれど、悩む。据え膳と言ったからにはしっかり準備をするべきなのか。でもそんなことをした経験がない。 「……」  ゆっくり、そうっと奥まった部分に手を滑らせ、指で後孔に触れてみる。 「あっ!」  自分で思った以上に敏感で、触れただけで身体が疼く。これはまずいんじゃないか。据え膳にできるか。 「……よし」  勇気を出して指先を挿れてみる。入るようにすればいいんだろうけど、どうやってやるんだ、と少し指を動かす。 「征大、どうしたの?」 「……!」  突然浴室のドアが開いて、海里が中を覗いてきた。俺はそのまま固まる。海里も固まる。 「……」 「……」  お互い無言。 「えっと、なにしてるの?」 「……据え膳作り?」  なんだそれ、と自分で自分につっこんでしまう。海里は頬を僅かに赤く染め、服を着たまま浴室に足を踏み入れる。 「濡れるよ……」 「見せて」 「え……」 「征大が据え膳になるところ、見たい」  かあっと頬が熱くなり、目を逸らす。そんなところを見せたくないし、はっきり言ってものすごく恥ずかしい。めちゃくちゃ恥ずかしい。顔も背けようとしたら顎を掴まれた。 「あの……できあがってから……」 「待てない」  わけのわからない会話を真剣に交わし、海里に顔を覗き込まれる。シャワーで服が濡れて肌にはりついているのが色っぽくて見ていられない。 「ねえ征大、今どんな姿してるかわかる?」 「えっと……」 「すごくいやらしい」  頬を舐められ、指先を挿れたままの後孔に海里も触れる。俺の指が抜かれて海里の指が入ってきた。ゆるく円を描くようにほぐされて、指が増やされる。 「海里……だめ」 「だめなの?」 「だって、熱い……」  身体の奥が熱くて、その熱に溺れそうだ。膝もがくがくしている。濡れた海里も心臓に悪いくらい恰好よくて、どきどきが収まらない。 「据え膳になっちゃった?」 「んっ……」  胸の突起を舌で転がされ、押し潰すように捏ねられる。ちゅっと吸われたら腰まで響く痺れに力が抜けた。 「……食べていい?」 「あ……」  海里が腰を押し当ててきて、硬いものが触れる。どきどきしながら頷いたら熱い昂りが綻んだところに滑り込んだ。 「可愛い、征大……」 「あ、あ……っ、海里……っ」  後ろから抱えられるように貫かれ、のけ反る背を手でなぞられる。背骨の形を確認するようにするりするりと熱い手が滑る。  シャワーの音が遠くに聞こえて、濡れた音が浴室に響く。海里の熱に溶かされてしまいそうで怖くなる。 「海里、待って……、だめ……」 「ごめん……やっぱり大切にできない」 「ああっ……」  奥を抉られ粘膜を擦られて、自分のものとは思えない甘い声が響く。それが消える前に次の喘ぎが零れるのが繰り返される。押し出される声が恥ずかしくて聴覚からの刺激にも身体が震える。 「あっ……ぅんっ……」  背中にいくつも海里のキスが落ちてきた。腰を掴まれて一際深くを探られ、欲望が弾けた。鏡に映る溶けた表情をする自分が恥ずかしくて目を逸らす。奥を穿った昂りが膨らみ、どくんと脈打つのを感じたら、もう一回視界が明滅した。
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