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「いったい何なの、あんたら、高校の時のそれが?」
「ふうん、まあ、大口叩けるものね、まあ、あれから4年経った。それなりに、記憶も薄れたわ。私達も、もう、大人だものね。お互い生活があるし、あんたもこの仕事、失ったら困るわけでしょ?」
「だったら、何か出しなさいよ。誠意っていうやつ」
くすくす。
「高校時代の時のことを、いつまでも言うなんて、子供ね。いい加減、大人になれば?大人って言うんなら、私達はもう、社会人なのですよ」
「何よ、生意気よ、ジャー島のくせに」
「そうよ、ジャー島が大人になったって、ジャー島であることに変わりがないでしょ」
ニタニタ。
「これからはいくらでも、自由に、人生を楽しく、自分の思う通りに出来るわよ。なのに、なんで、あんたらは些細なことにこだわってるの?あんたら、まだ私が妬ましいの?」
「なんで、私らがあんたなんか」
「そうよ、お邪魔虫の犬のくせに」
「違うの?私に取りついて。まるで、前と同じだからさ。あんたらが私の下で妬んでるんじゃないの?つまり、いつまでも金魚のフンよ。私がお嬢様で優秀で美しいって断言できるけど、自分らが断言できないから、私に八つ当たりしているのよ」
「誰が、あんたなんか、うらやましがるわけないでしょ」
「ジャー島犬のくせに」
「あんたら、いい加減、昔のことなど、縁を切れば?何を、いつまで、引きずってるのよ」
「なっ・・・それはこっちのセリフよ」
「あんたら、それで人生、楽しいの?」
「なによ、ジャー島のくせに偉そうに」
「ジャー島が何を言えたものなのよ」
よっぽど図星だったのか、手下たちは私の肩を突いたり、頬をはたいたり。
「君ら、何をしている」
そこへ、上の階段から背広を着たおじさんらが降りて来た。どちらも頭の禿げ上がった中年のおじさんらで、一番前にいるのが社長。後ろにつきしたがっているのは、専務、人事部の部長。
(そう・・・私は、この時間帯に、社長らが社内を巡回するのを待ち伏せていたのだ)
知っていて、今、この時に、手下たちと社長と対面するようにしたのだ。
私も用もなくうろうろ出来ないが、この時間にここを通ったり、書類を渡す用事をしたり。この時間にいつも、私も来るようにしていた。
ーーいつか、手下たちがつっかかってくると思っていたから。
「社長、かつての同級生らに、私、高校時代の恋愛のことでからかわれてたんですけど、ひどいことはされていません」
「お?・・・お、うん」
この社長は、弱気でうむしか言わないことで有名。
そのため、先に言ったほうが、事実を上塗り出来る。すなわち、白を黒にでも反覆させられる。
(少々汚いことでもするわよ)
私も駄犬の烙印を押された身で、綺麗事など言ってられない。生き残るためには、社長の権威でも利用するのだ。
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