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act4-2 アイドル女子にふたたび、戦いを挑む
(なんであんな奴が我が社で活躍しなきゃならないの?)
企画部なんて、我が社のコアと同じ。コアをエヘペロが動かすと言えば、我が社がエヘペロに動かさているのも同じ。
部署に帰って、私はイライラした。
(もう、あの頃と同じ轍は踏まないと思っているのに、私はあの偽善者を邪魔したい。だって、あいつの欺瞞を広めるなんか出来ないもの)
私の会社、この会社の全財産にも関わるのだ。
(私も企画を出す)
もう関わらない。そう決めているけど、己の会社となると別だ。
(あの女にうちの会社の未来を委ねるなんて、出来ない)
「こちら、私もアイディアを考えました。よろしくお願いします」
うちの会社は容器の製造会社だ。それも耐熱ガラス。かなり独特の路線だが、他に競合他社が少ないので、よく売れている。
古くはガラス器具の店だったが、安いプラスチックが台頭するに押され、耐熱ガラス販売に変え、さらに事業を大きくし、日本でも屈指のメーカーに成長した。
「ええと?君、デザインでもやりたかったの?」
「え・・・?」
企画部の中年の部長かと思ったら、目の前にいたのは、若い男性。
髪を後ろに流し、パリッとした高級感のあるスーツ。
「城市くん?」
静かで、大人しくてデスクにいても気づかなかったけど、よく見たら、城市茂次郎。元伊藤エリカの取り巻き。
地味で目立たなかったけど、私が振られたことを大笑いした中にも、彼はいて、いっしょに笑っていた。と思う。
「な、なんでここに?」
「い、いや、僕は一応、企画製造部門の統括なんで、企画部の書類を見に来ることもあるんだよ、君、僕がこの社内にいるってこと、忘れてない?いや、完全に忘れてるよね。見ても眼中にないって言うか。いつも、その辺にもいるんだけど・・・?」
言われた通り、彼の手の下には、上げられたデザイン画だの、企画書類だのが広げている。
そうなのだ、城市工業の孫の彼は、私とは違って、いきなり、統括。自分では見習いと言っていたけど、本人はそう思っているだけで、いきなり、役職つきで、個室だ。
だから、別室で常は仕事をしている。だから、普段は滅多に会わない。確かに地味で静かだから、私もあまり気にもしてないけど。
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