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私が社内に戻った時、上から何かが振って来た。
花瓶だ。
「危ない!」
あまりに突然のことだったから、私は足が動かなかった。気づいた時はもう、目と鼻の先にあった。でも、そこから私が花瓶に頭突きをされないように、誰か背中を押してくれた人がいる。
私は突き出され、前に倒れて、花瓶は直撃しなかった。でも、私を突き飛ばした人の頭に花瓶が当たって、その人は倒れた。
「城市くん?あ・・・」
城市が私のことを追いかけて来て、私を助けてくれたのだ。
倒れて頭から血を流している。慌てて助け起こすと、意識がある。
「ど・・・どうして、私なんかのために」
「言ったろ。君のためなら何でもするって、君のこと、応援したいんだ」
「そんなの、いくらでも、協力するのに、仕事なら、私はこの会社の社員なのに、あなたの言うこと、いくらでも聞くわ。だから、死なないで」
これか、あの占い師の言っていたこと。上からのもの、命に係わる。この火急的緊急事態に思うことは相当いっぱいあったが、ふと一瞬だけよぎった。それを、この人が守ってくれた。
「仕事じゃない。君を僕は守りたかった」
ぜんぶ私のため・・・?
この人、本気?
幸い、この時の怪我は大したものじゃなかった。
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