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階上に人影がさっと消えた。大勢、見に来たのに、さっと隠れるその姿を私は見逃さなかった。
これを機に、越前谷は姿を消した。新人研修会で、私のことをそれほどまで・・・?
横領した小松谷と共に横領した疑いがあった。でも、新入社員のあの時は、私はそこまで証拠が握れなくて、追い出せなかった。
だから、私もいつか、あの件で不正を暴いてやろうと思っていたのだ。しかし、相手も感づいていて、私が何かしでかすか、監視していたに違いない。最後に、いわば本当に、亡き者にする気だったかもしれない。
人の恨みは怖い。まっとうな怒りもあろう。許されないという尺度は人それぞれ。
私のような、周りに食ってかかる吠え付き犬の怒りとは、まるで違ったものだ。分からない。分からない。理解を超える。
私は町を放浪した。歩いて、歩いて。
でも、歩き回って、力尽きるまで、何か正しい解答には至らなかった。
うおおおお・・・・
高層ビルの中で、私は吠えた。
世の中の無情。己が理解出来ないこと。
気持ちのやり場がないこと。
泣いていたかもしれない。
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