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act6 銭ゲバ女社長と対決、噛みつき、結果、大躍進する
戦いの日々を送る私に、容赦のない敵が次々と立ち塞がる。
私を入りたてで、左遷しようとした女社長安達。その女の会社が、チャラ男の買収会社が撃退されたと知り、次は自分の番と、ついに、うちの買収に手を伸ばして来たのだ。
「この案件は、ぜひ実現したい。うちの会社はあなたの下で部品を製造してもらっている会社の規模ではない。うちがあなたの会社を合併します、メリットは大きい、あなたらは大規模経営が出来て、大躍進します」
などと、ひと皮剥けば、欲の皮つっぱる女豹。獰猛に貪婪に、手元のいたいけな獲物に牙を剥いて迫ったのだ。
地味で大人しい城市社長は詰め寄られて、そして、おどおどするだけ。
「お前たち、働きなさい」
「はっ」
女豹の手下の高級スーツ女秘書軍隊も、関係会社、銀行、大手百貨店、卸売、小売店までその魔手を伸ばした。
精密なデータをアタッシュケース分の圧さほどある分量で証拠にし、我が社のさまざまな社員の家族まで調べ上げ、うちに譲歩するよう、その精密で高圧的な魔の攻撃を繰り返した。
追い詰められた城市工業は、もう買収されて、解体されて終わるという雰囲気に飲まれた。
私らの部署も、会社存続の危機に立たされた。
「えーと、あの、城市工業ですが、うちの製品どうですか?」
私は電話をかけまくった。
「沢島さん、どうするの?」
「あの会社だけでないってことを分からせてやるの。あちらが取引から手を引いても、うちは大丈夫ってことだったら、何も問題ないじゃない。卸から小売まで、日本中広いのよ、どこかうちの商品を置いてくれるところ、あるわよ。それに、この私は、いえ、うちは大金持ちだから、販売先にはいくつも知っているところがあるの」
私の上司のオシャレでメガネの女係長はぽんと手を叩いた。
「なーるほど、営業の新規開拓ってわけね。本来なら、営業の仕事だけど、緊急事態だし、取引先なんか、いくらあっても良いわけだしね、よし、私らも沢島さんの協力をするわよ」
「いいですね、私も沢島さんに協力するわ」
同僚の梅香も賛成。
「よし、まあ、じゃあ、皆でやるか」
ハゲ頭の河田部長も賛成で、手伝ってくれた。
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