act6 銭ゲバ女社長と対決、噛みつき、結果、大躍進する

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 しかし、強大な敵の魔の攻撃は、さらに続いた。  安達製造会社、新製品発表を兼ねた事業報告会。  そこでは多くの資金源となる関係先や銀行、投資家たちのほか、関連会社の社員らが集まり、いかに安達社長の威光があるかを見せる場でもあった。  うちとは比べものにならない規模の話を、大勢の部下らの前で並べ立てられ、大人しい社長はただただ、息を飲む。  何倍、いえ、何百倍違う世界に、その息子、そのまた息子の城市茂次郎、その兄弟までもが、うむうむ、うーんと唸るだけの同じ反応だった。 「というわけで、我が社がこれだけ羽ばたくことが出来る会社なのです。これほどの事業を展開できるのはうちの強みです。我が社とつながりがある会社はそれゆえ、共に発展出来るでしょう」  大勢の前で、大勢の有名企業らの名前を出され、我が社の社員はただただ、うなづくばかり。  我が社の碁盤の目は、私らが白、相手やその周りは黒になり、取り囲まれた。 (あの女の好きにはさせない)  我が、城市社長の会社が、のっとられる。  誰がこの女の思うままにさせるものか。  このジャー島犬。戦いは知っている。学園一のアイドル女子と戦ったのが、この私。  どれほどの強敵に向かってきたか。こき下ろしても、エヘペロと立ち上がる。ドジばかりしても、一生懸命さで乗り越え、恋人をつなぎ止める。  その艱難辛苦の戦いを、命からがら潜り抜け、生き残って来たのだ。  どんなに勝てない敵が現れても、次々また、新しい敵がどんなに現れても、私はあの戦いの日々を越えた戦士。  戦う。どこでも、いつでも。  その戦いの日々は私の運命。戦うのが私の使命。  私こそが、戦士。  私を救ってくれた恩人。  その人と会社を意のままにしようとする強敵。  そのために戦う。  けれど、これほど凄まじい敵には遭ったことがない。  エヘペロとも違う。人事の資金横領の手下とも違う。  社会に出て、海千山千で鍛え上げられた獰猛な獣、いえ、ケダモノ。  この化け物め。 「そんなことはないと思います」  ざわ。  相手にとって、不足はない。
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