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急がなきゃ・・・
実家で化粧から髪のセットから、一番良いもので着飾って来たけど、あまりに時間を掛け過ぎて、会場に行くのが遅くなってしまった。
一応、社員イベントだから、業務時間。時間に遅れたら、ヒンシュクを買うわ。
「おおい、沢島さん」
そこへ、リムジンが来るから、誰かと思ったら、城市君だった。
「ううーん、そのドレス、あまりいけてないな、見てみなよ」
会場近くで、大勢の人がもう揃って来ており、中には飛び切り目立つ赤のドレスの可愛い女の子がいる。
「例のあの子、自分でハサミ入れたんだろ、かなり目立つドレス着てる。赤だからシンプルだけど、見映えが良い。元の素材も可愛い子だし、今日はお化粧もしている。日本版、アンハサウェイだ。鉄板だよ。他に勝てる奴がいない」
言われた通り、あの子は大勢に囲まれてちやほやされている。
そばにいる竹内涼ももう目が釘付けだ。
どうやら、胸元の宝石は竹内涼からのプレゼントらしい。彼がプレゼントしてくれて、エヘ。ってあの子が自分で言いつつ、笑っている。
勝てない・・・
私はへなへなとその場に崩れ落ちた。
赤には勝てない。
今回着て来たのは、モスグリーンのオシャレなドレスだが、赤に比べると、大草原の小さな家の子だ。
やっぱり、魔性の女。
「ううーん、会場のほうには僕から行っておくから、まあ、君、来て」
「え・・・?」
そう言うと、彼は私の腕を引いて、車に乗せ、どこかに指示して、車が入り出す。
「ど・・・どうして、私を・・・」
「いいから、ついて来て」
車は高級ブランドの立ち並ぶ一角に入った。そこで、私は名前も読めないブランドの店に連れて行かれて、大きな鏡の前に座らされた。
「君は負けたくないんだろ?負けないようにしてあげる」
そう言うと、彼は私の着替えを見ないように、部屋を去った。
代わりに入って来たのは、見たことが無いほど、きらきらするドレス。
「赤に対抗するには、これだ」
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