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再び彼は私を車に乗せ、会場へ走った。
ざわざわと酒も入って、余興も入って、楽しさが高まって来たパーティ会場で、私は彼と共に会場に登場し、周りをざわつかせた。
「わ、あの人、綺麗」
「えー、城市統括が連れだっている人、誰?」
彼は、私を会場に披露した。私は彼の選んだドレスに身を包み、皆の目線をくぎ付けした。
赤に対抗するのは、黄金だ。
彼が選んだのは、黄金に輝くドレス。シンプルだけど、高級感があって上品で、格式高い。ぎらぎらとした色ではなくて、ほんのり赤いピンクゴールド。
ええ、あの人、誰?
すごい、素敵。
私はパーティの花になった。
これが私?
これが私。
豪華な彼氏に大切にされ、華やかなパーティで注目を集める。
これが本当のヒロイン?
これが私。
本当の、本物の、ヒロインの私。
「ずっと君のことが好きだった」
城市茂次郎はパーティ会場で、私のそばで耳元でささやいた。
「あなた、本当に誰に向かってそんなこと言ってるか、分かってる?」
「分かって言ってる。よく吠える君に。とても綺麗だ、君から目が離せない」
カクテルを飲みながら、何だか頬を染めている。本当にうっとりとして、私しか見てないようだ。
そんなに見つめられたら、私も頬を染めて、照れるしかなかった。
「本気?」
「僕は本気だ。最初から」
私はあまりに気分が良くって嬉しかったから、呆れた。まったく、特殊な人もいるものだ。
その時はそれ以上、妙なコレクション男の愛人集め社長の趣味などは、どうても良いことに思って、聞く耳を持たないことにしたのだが・・・
でも、窓に映る私の顔が自然と、にこにこ。
こらこら、相手は城市茂次郎なのよ?いったい誰に向かって・・・と何度自分に言い聞かせても、どうしても、どうしても、顔がにこにこするのを止められなかった。
もう、どうして、私・・・
ああ、なんでか、こうなっちゃうのよね。
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