act8 パーティでアイドル女子を超えて、ヒロインになる

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「どうしたの?また不機嫌な顔をして」  会社の社屋が見えて来たと思ったら、横に茂次郎が立っていて、私の肩をこつんとした。 「元気ないな。いつもの沢島さんはどうした?食いついて離れないのが、沢島さんでなかったのか?」  ・・・けっこう、当たり障りある言葉を使うじゃない。 「やっぱり、あんたも、私のこと馬鹿にしてる?」 「そんなわけない。元の君、今の君のほうがいい。そう言おうと思って来た」  あ、なんで、私、胸がどきどきしてるんだろう、こいつに。 「あ・・・あんた、な、何?どこから来たの?」 「通勤車から。送迎手に手前で下ろしてもらった。君が見えたから」 「いいわね、送迎ありなんて、さすが重役」  彼はぐるっと回って私を覗き込む。 「な、なに?」 「早くいつもの沢島さんに戻れよ」 「どうして、あんたに言われたくない」 「君はもっと優秀だったはず。君は勤務態度も真面目で、仕事もひと一倍出来るし、次の主任にという話も聞いてる」 「なっ・・・いい加減なこと言わないで」 「それは君は優秀で本当に一目置かれているからだよ。僕だって、君のことを一目置いている。もう、そんなに誰かと比べて、自信を落すことはないだろ」  何やら、私が励ましたのが感謝された結果だけど、そのお礼?律儀な人だわ。 「だって、悔しくないか?高校の時のことをいつまでも引きずっているなんて、悔しくないか?」 「もちろん、私だって悔しいわよ。私はもう仕事で一目置かれている立場なのよ、次に主任にもなるわ。今の小長井主任の次は私よ」  かつての私を知る相手がお返しに私を励ますなら、私も黙っていられず、つい元の自分の本性をさらけ出したまま、言い返した。 「まだまだ、だな。元の自分を早く取り戻せよ」  彼はそう言い、歩いて行った。  朝っぱらから・・眩しいことを言ってくれるじゃない?  いったい、あんた、何なの?
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