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「よーし、やったわ、私」
「よく、やった、伊藤さん。これは、まあ、一生懸命さは伝わる仕上がりになった。部長や社長にも見てくれるように言っておくよ」
「ありがとうございます」
そして、結局また、かわい子ぶりっ子して一生懸命しかしないで、皆の心をわしづかみにし、腐った企画書一枚しか作れなかったとしても、なんでか、大勢に、誉められ、またちやほやされてしまったのだ。
(こっちは朝から晩まで、データを打ち込み、取引の取りこぼしがないかと、精神をすり減らしている。それでも出来て当たり前。書類に不備でもあれば、失敗だの言われて、迷惑顔で、睨まれるのに)
「エリカ・・・」
「竹内君・・・」
「よくやったな」
「エリカ、やれたかな、やれたなら、嬉しいエヘ、ペロ。でも、竹内君が誉めてくれるだけで、もうエリカ、満足」
「エリカ・・・」
おまけに、社内の廊下で、あの女と竹内涼が見つめ合い、大したことをしてないのに、まるで大仕事をしたかのよう。竹内涼も彼女の頭を撫でてやり、またあの女は嬉しそうにエヘっと笑っている。
あの笑顔の裏では、可愛い私、また騙してやったわ。
心の中では、うまく行ったわ、周りは騙されたわねってほくそ笑んでいるってのに。
やられた・・・
ああ、またしても、エヘペロに、エヘペロされてしまった。
う・・・ぐぬうう・・・このうう・・・
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