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act9-2 かつての仇敵(ライバル)の幸せな噂
「いらっしゃいませー。おひとり様?はい、カウンターへどうぞ」
(あーやれやれ。いったいいつになったら、あいつらを気にせずにいられるのだろう?)
高校を卒業し、大学へ進学し、あの頃のことを忘れて、地元に戻って来たというのに、同じメンバー。
社内では、今も相変わらず、あのエヘ彼女の活躍と、イケメン彼氏の竹内涼とがいちゃいちゃするところを見せつけられる、なんて・・・
「へえ、あの二人、ゴールインかあ。仲良かったもんねえ。とうとうゴールかあ」
「お似合いの二人だよね。まあ、それでも遅いぐらい。もう、二人は出来るところまで出来ていたからさ」
思わず、駆け込んだバーで、同じ会社の社員から、あの二人が結婚することことが耳に入った。
(なぜなの、また同じ会社の社員たちがいるの?田舎はこれだから、もう)
ゴールイン?
ぐらぐらっと、さらにまた私の世界が揺れたようだった。
(どうして、今になって、これほど悩ますの)
もう分かっていたことじゃないの。あの二人がゴールインするってことは。
なのに、結婚の二文字に踊らされる。
ゴールで、頭を一発殴られた。出来るところまで出来ていた?という謎のワードにも、心がぐさぐさっと貫かれる。
私は強いカクテルを一気に飲んだ。
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