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「エリカ、どうした。体調悪いのか?」
「ううーん、もしかしたら、熱あるかも」
「あ、熱あるぞ、家帰って寝てろ。この前、張り切ったからだろ」
「大丈夫、大丈夫、私、多少のことじゃ倒れないから、身体だけは頑丈に出来ているの」
「大丈夫じゃない、鼻水出てる」
動揺がまだ続いていて、よたつく足で、通路に出たら、廊下の角で、伊藤エリカと竹内涼が話をしているのに出くわした。
竹内涼は伊藤エリカの額に手を当て、頭を撫でたり、さも心配そうにしている。
エヘは、がむしゃらだけが得意なのは頭以外でもそうで、熱が出ているのに、まだいけるとか、大丈夫とか言っている。
「でも、竹内君、今日は、大事な取引があるって言ってたでしょ?」
「そうだな、出来るだけ早く終わらせて、帰る。お前は先に帰ってろ」
「どうした?」
「ううん、学生時代と違って、好きな時間に会えることがなくなったなあって」
「それは仕方ないだろ、社会人になったら、好き勝手出来ないんだから」
「でも、早く結婚したい」
「心配するな、もうすぐ結婚したら、もっといっしょにいられる。それに働いてもう少し、資金が溜まったら、俺の会社を起こすから。そうしたら、いつもいっしょにいられる」
「ほんと?嬉しい。・・・でも」
「でも、はなしだ、俺にでもはない」
私はわなわなと震えた。
(なっ・・・・なんですって)
本当にあんな女と結婚する気?
そりゃあ、もちろん、バーで遭遇した会社員からも聞いていたけど。
それに、会社を辞めて、事業を起こす?
な・・・んてこと。
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