act9-2 かつての仇敵(ライバル)の幸せな噂

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「エリカ、どうした。体調悪いのか?」 「ううーん、もしかしたら、熱あるかも」 「あ、熱あるぞ、家帰って寝てろ。この前、張り切ったからだろ」 「大丈夫、大丈夫、私、多少のことじゃ倒れないから、身体だけは頑丈に出来ているの」 「大丈夫じゃない、鼻水出てる」  動揺がまだ続いていて、よたつく足で、通路に出たら、廊下の角で、伊藤エリカと竹内涼が話をしているのに出くわした。  竹内涼は伊藤エリカの額に手を当て、頭を撫でたり、さも心配そうにしている。  エヘは、がむしゃらだけが得意なのは頭以外でもそうで、熱が出ているのに、まだいけるとか、大丈夫とか言っている。 「でも、竹内君、今日は、大事な取引があるって言ってたでしょ?」 「そうだな、出来るだけ早く終わらせて、帰る。お前は先に帰ってろ」 「どうした?」 「ううん、学生時代と違って、好きな時間に会えることがなくなったなあって」 「それは仕方ないだろ、社会人になったら、好き勝手出来ないんだから」 「でも、早く結婚したい」 「心配するな、もうすぐ結婚したら、もっといっしょにいられる。それに働いてもう少し、資金が溜まったら、俺の会社を起こすから。そうしたら、いつもいっしょにいられる」 「ほんと?嬉しい。・・・でも」 「でも、はなしだ、俺にでもはない」  私はわなわなと震えた。  (なっ・・・・なんですって)  本当にあんな女と結婚する気?  そりゃあ、もちろん、バーで遭遇した会社員からも聞いていたけど。    それに、会社を辞めて、事業を起こす?  な・・・んてこと。
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