act9-3 お礼のKISS

1/2

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ

act9-3 お礼のKISS

「キス?」 「うん」  なんだか、水道修理でもあるかのように、当然のように言うので、私も、そういう処置の仕方があるのかと思ったほどだった。  城市も恥ずかしげもなく、ちょいちょいと指招きをする。  ええと、西洋ではそういう謝罪の仕方でもあったっけ?と私はそばに寄ったけど、相変わらず、きょとんとして、熱を測る前の子供みたいに待っているから、私もおかしくないことなのかと思って、聞いた。 「じゃあ、したら、いいの?」  聞くと、こっくりと頷く。これは、したほうが良いのか・・・?  彼には世話になってる。この前のパーティもそうだし、命を守ってくれた。求められるなら、それぐらいしたほうが良いかも。  ええい、仕方ない。  これで具合が良くなるならと私は思い切って、口をぶつけた。 「本当にしてくれるとは、思わなかった」  離れると、城市が目を丸めている。 「なっ、あんた、私を引っかけたのね」 「い、いやそうじゃなく、本当はしてもらいたかった。でも、君はそんなことをする人ではないと思ったから、ちょっと試しに、言ってみようと。してくれたら得だし」 「やっぱり、こっちはてっきり、礼にでも贈答品送る気になってたわよ」 「贈答品?うん、ええと、その、あ、君」 「このセクハラ上司」 「え、うん。そうかも」  私は思いっきり彼をソファに投げ飛ばして、憤慨してその部屋を出た。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加