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act9-3 お礼のKISS
「キス?」
「うん」
なんだか、水道修理でもあるかのように、当然のように言うので、私も、そういう処置の仕方があるのかと思ったほどだった。
城市も恥ずかしげもなく、ちょいちょいと指招きをする。
ええと、西洋ではそういう謝罪の仕方でもあったっけ?と私はそばに寄ったけど、相変わらず、きょとんとして、熱を測る前の子供みたいに待っているから、私もおかしくないことなのかと思って、聞いた。
「じゃあ、したら、いいの?」
聞くと、こっくりと頷く。これは、したほうが良いのか・・・?
彼には世話になってる。この前のパーティもそうだし、命を守ってくれた。求められるなら、それぐらいしたほうが良いかも。
ええい、仕方ない。
これで具合が良くなるならと私は思い切って、口をぶつけた。
「本当にしてくれるとは、思わなかった」
離れると、城市が目を丸めている。
「なっ、あんた、私を引っかけたのね」
「い、いやそうじゃなく、本当はしてもらいたかった。でも、君はそんなことをする人ではないと思ったから、ちょっと試しに、言ってみようと。してくれたら得だし」
「やっぱり、こっちはてっきり、礼にでも贈答品送る気になってたわよ」
「贈答品?うん、ええと、その、あ、君」
「このセクハラ上司」
「え、うん。そうかも」
私は思いっきり彼をソファに投げ飛ばして、憤慨してその部屋を出た。
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