act10 アイドル女子とアイドル男子の結婚を邪魔しに・・・行かない

4/4

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「早く、僕のところへおいでよ。ほら、僕のところへ、来るんだろ?」  私は顔を赤らめて、それでやっぱり、城市のもとへ走った。  悔しかったけど、喜んで走った。 「私なんて、邪魔島なのよ?それでも良いの?」 「それがいい。その君が良いんだから。沢島さん。僕は・・・君なしでは生きていけない」  城市は私の肩に手を回して、引き寄せる。私は彼の広い腕の中に包まれる。 「僕に取って、君はプリンセス。あいつのようにのけ者にしない。どこまでも世界の中心だ、僕の世界の中心は君」 「何を言い出すか分からないわよ?分かって?私は沢島小夜子。望みは遥かに高いの」 「僕には君が必要なんだ、僕は君を離さない」 「あなた、出世しないと、この私が満足しないかも、そう思ったことある?」 「君がそう言うなら、僕も高みを目指す。君は、将来の社長夫人ってことで」  私は顔を赤らめながら、うなづく。  もう、誰がヒロインかなんて気にしない。  私が私の人生のヒロイン。  私を愛する人のところで、私は人を愛せる人になりたい。  誰かに勝って、いい気分になんてなれないもの。  自分が幸せになってこそ、幸せがある。  もう、あの人の元へは行かない。二度と行かない。  ああ、これが、本物のヒロインの私なのね。  (終)
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加