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act3 かつての手下たちを下して、地位を固める
「何やら、この創業者の親族の息子と仲が良いらしいじゃない」
「生意気よ、ジャー島のくせに」
会社にいるかつての手下たちは、あの業務外の野球試合で、城市と仲良くなっていると誤解して、やっんだらしい。会社ですれ違うとき、聞こえよがしにその声が聞こえて来た。
私が社員として就職したことを、同じ会社に就職して、前からよく思ってなかった元取り巻きたち。
もともとくすぶり続けていた火種が、夏でもないのに暑い初夏の日が続いた時、とうとう燃え広がった。
その元手下たちが、工場の地下で会った時、私を取り囲んだ。
「ねえーん、良いんですか?沢島さん、高校の時のトラブル、上に言っても」
「そうそう、あれだけ恥、かいたんだから、総務部になんていられないでしょ。私と代わってくださいよ。その仕事、楽そうですよね」
「高校の時は、私らを手下扱いだったのに、今また大きな顔されるのは気に障りますね、ジャー島犬のくせに」
「私らよりもらってるんですよね?じゃあ、金出してくださいよ。前はよく出してくれたじゃないですか」
こうなると思った・・・
かつては元手下。
同級生という、もう同じ立ち位置でなくなった彼らは、カースト制度の名残で、私を目の敵にするのは分かっていた。
元手下のくせに、私の前で大きな顔をするなんて、大間違いだわ。言いたければ、言えばいい。どうなろうと私は構わない。生き抜く術はどこにでもある。
それに私の仕事はかなり長時間の業務上の知識を経て成り立つものだ。簡単に誰でも出来るものじゃない。いきなり代われると思っている奴らは、その時点で問題認識に間違いがある。
(何よ、高校の時は私のさんざんすり寄り、失敗したと思ったら、とたんに見放して、悪口言い出したんだから、こいつら。私の家でさんざん、飲み食いして、おべっか使ってたくせに)
今更、裏切る気?
まあ、高校の時にはもう、裏切ってたわね。
「何よ、あんたたち、昔はすり寄って、今は貶める気?」
「さあ、どうですか?私らと沢島さんの仲じゃないですか」
「沢島さんと私ら。そもそも、仲良かった?」
クスクス。
鬼の目だ。フフフ。くすくす。笑って、三角のとんがった目をしてる。
さんざん、私にすり寄ったくせに。
今ではさんざん、お邪魔虫犬だの、ジャー島だの、バカにしてくれたわね。
でも、バカにして笑ったら、私が落ちると思ったら、大間違いだわ。
この超美貌、頭脳優秀、超お嬢様の私が、あんたらなんかに、負けるわけがない。
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