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act1 いきなりデッドエンド
私は沢島小夜子。
超優秀、超絶美形、超お金持ちのお嬢様。向かうところ敵なし。その私が、いきなり敵の罠に陥るとは思わなかった。
「バカおっしゃいますな。この沢島小夜子が負けるわけがないでしょ。おーほっほ。あなたのようなちんちくりんのトーヘンボク。この大金持ち、センスと才能の塊、学園一の花、頭脳優秀でモテモテの沢島小夜子、この類まれな美貌、才能の持ち主の私が、負けるわけがない。あーりえない、有り得ない。ほーっほっほ。ない。ないないない。ない。ナッティング。おかしくって、腹で茶、抱えて、爆笑するわ。竹内涼は私のもの。竹内涼も私一筋。あなたのようなモテない女が、惚れられると思って?勘違いなさいますな。これ以上、近寄らないで。これ以上近づいたら、パパに言って、あなたのこと、追い払ってもらうから」
目立たないし、ドジばっかりだけど、クラスでは誰からも好かれていて、こけたり、失敗しても、エヘって可愛い笑顔の伊藤エリカ。
あどけない、無垢な笑みに、男子は釘付けで、学校一のイケメン竹内涼は彼女にいつも優しくて、硬派のくせに彼女にだけは甲斐甲斐しくって・・・
反対に、学校でも注目され人気があって、誰からも好かれている私が、何も構われず、優しくもされず・・・
可愛くて、超お嬢様でモテモテの私なのに、竹内涼はなぜか、伊藤エリカばかり構って、伊藤エリカばかり、優遇されて・・・
「いくら、言い寄られても、俺の気持ちは動かない。ごめん、君に付き合う余裕はない。あいつを守ってやるのは、俺しかいないから」
せっかく勇気を振り絞って、告白したのに、竹内涼は私の前からすぐに去った。
見たら、彼女の元に行って、頭を撫でていた。
「どうしたの?今日は変に優しい」
「ううん、何でもない。行こう」
そう言って、竹内涼は私を置いて、彼女と並木道路に消えた。
(なぜ?あのエヘペロごときが、竹内涼に優しくされてんの?)
私が負ける?そんな、馬鹿な・・・
沢島、振られたんだって?
あれだけ自信満々だったのに?
付きまとっていただけか?
犬みたいに、よくつきまとっていたよな。
ほんと、キャンキャン吠えて、付きまとって犬みたい。
ゲラゲラ、ゲラゲラ。
あの時から、私はジャー島、お邪魔虫の後追い犬、ジャー島犬。と呼ばれ、手下からも、誰からも付きまとわれなくなった。
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