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プロローグ
「おーい立花。行くぞ」
「はっ、はい!」
先輩検察官の青木さんに声をかけられ、昼食の箸を置いた。
慌てて鞄に必要な物を入れて、ジャケットを羽織る。
パタパタと後を追いかけると、さっき入った電話の内容を話される。
「三原に動きがあった。事件の真相について、話す気になったらしい」
「えっ!」
三原湊(23)奥さんの三原京華を殺害した容疑にかけられている。
20日間も黙秘を貫いていたから、てっきり諦めていたけど…
「奥さんの遺体、結婚式場で見つかったんですよね。
喧嘩して、ついカッとなったんでしょうか?」
「さぁな。犯罪者の気持ちなんて、俺にはわかんねぇよ」
いつもに増して興味無さそうな返事に、少しムッとする。
私だって、わかってるわけじゃないのに。
怒ると恐いので、そんなこと微塵も顔に出さなかった。
「いいか。主な取調は俺がする。お前はメモ取ってるだけで良いから」
「わかりました!」
重い取調室の扉を開けて、中に入る。
そこには、3日前に来たときより痩せた、三原の姿があった。
「…さて、話を聞かせて貰おうか。」
彼は何の躊躇いもなく、固く閉じていた口を開いた。
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