2019年3月1日

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2019年3月1日

高校卒業後に付き合って、今日で1年。 記念日デートの計画を1か月前から考えていた。 幸い予定が無かったので、東京駅で午後7時に集合することになった。 緊張から、何度も駅の鏡で自身の姿を確認する。 着慣れない服に袖を通し、美容室でセットして貰った髪をいじる。 そうこうしている間に、彼女からラインが入った。 どうやらもう着いたようだ。辺りを見回して、人ごみの中に彼女を探す。 「だーれだ!」 可愛らしい声と供に、後ろから覆われる視界。彼女だ。 「京華だろ?」 「何でわかっちゃうのよ」 振り向くと、そこには膨れっ面の彼女。 そもそも、君としか待ち合わせしてないのだから、君以外が来るはずがない。 というセリフは言わないでおこう。 手を繋いで目的地へ向かっていると、あることに気が付く。 「…足、どうした?」 スカートから覗く白い太腿に、大きな絆創膏が貼られている。 遠目から見ても痛々しい程、目立っていた。 「朝起きたら痣ができてて…痛くないんだけど、お母さんが大袈裟でさぁ」 どうやら自覚は無いらしい。 実際彼女はよく怪我をする。転んだりぶつけたりは日常茶飯事だ。 でも、これほどの大きな怪我は見たことがない。 「…とか言って、本当はまた転んだんだろ?」 からかうように言うと、違うし!と背中を叩かれる。 「そんなこと言うんだったら、もう帰ろうかなぁ~?」 「え!ご、ごめん。冗談だから、帰らないで…」 さっきまでの勢いが嘘のように急降下する。 萎れた僕を見て、また笑う彼女。 「嘘だよ。本当に私のこと好きだねぇ」 春の日差しのように生温いこの日々が、一生続けばいいと、 そう思った。
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