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その後、紅星は真冬まひの以外の友達と別れ、まひのと二人で帰路につくことになる。歩きながら、2人は高校時代のバンド活動の楽しい思い出について話し合った。
まひの「紅星くん、覚えてる?解散ライブで、ギターの弦が切れちゃって・・・」
紅星は懐かしそうに微笑みながら答えた。
紅星「ああ、覚えてるぜ。おかげで伝説のライブになったよな。」
彼らは近くの公園にあるベンチに腰掛ける。
まひの「ボトルネック奏法でね。水筒で弦を押さえつけながら、演奏したよね。」
紅星「あの時のまひのは、かなりかっこよかったぜ。」
紅星は心からの笑みを浮かべて答えた。まひのは照れる。
しかし、まひのの顔には少しの寂しさが滲んでいた。
まひの「紅星くん、卒業したら私たち、もう会えなくなるのかな。」
まひの「今は受験勉強で忙しいし、会えるの今日が最後かも。」
紅星たちは高校3年生だ。卒業を控え、それぞれの進路に進むことが現実となりつつある。変わりゆく日常に、まひのは不安を感じていた。
まひの「私、バンドメンバーと離れたくないの…」
夜の寒さを和らげるかのように、紅星はまひのを励ます。
紅星「大丈夫。離れ離れになっても、きっとまた会えるぜ。」
そして、力強く約束する。
紅星「何かあったらおれたちが必ず会いに行くからさ、
そんな悲しい顔はやめてくれ。」
紅星「まひのがずっと笑顔でいられるって、オレは信じてるぜ。」
紅星がまひのに向けた笑顔。
それは、まひのの不安の全てを包み込むような笑顔だった。
ツーー。生暖かい液体がまひのの頬をつたう。
まひの「紅星くん。ありがとう。元気出た。」
ぐすぐすと泣きながら、まひのは紅星に笑顔を見せる。
紅星「おいおい、泣くなよ。大げさだなぁまひのは。」
紅星「これで涙拭こうぜ。」
紅星はカバンからハンカチを取り出し、まひのの涙をぬぐう。
まひの「うん。」まひのは屈託のない笑顔を見せた。
頬のまわりを拭ってから、あごの周りを拭く。
その時、紅星の手がナビチョーカーに触れる。
紅星「熱ッ!」
突如、炎天下で熱された地面のような熱が、紅星を襲う。
まひののナビチョーカーが発熱し、高温になっていたのだ。
紅星「まひの、お前のナビチョーカー熱すぎ。いったん電源切って外そう。」
まひの「ダメだよ紅星くん。これはつけてないと。」
まひのは真剣な表情で拒否する。
紅星「ナビチョーカーはオートセーブ機能付きで、ポチ切りOKだろ?消すからな。やけどになる。」
紅星はまひの制止をふりきり、ナビチョーカーの電源をオフにする。
まひの「待ってダメ。今消したら」
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