sweet & painful

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「初めまして、ですね。何にします?」 「あ、」 女の子にしては低めの声、 でもすごく優しげで癒された。 俺は返事の代わりに、 すぐに咳が出る体質のためにしていた マスクをゆっくり外した。 「オススメ、何がありますか」 次の瞬間。 店員は口の中で呟き、細かく震え出した。 「嘘」 「えっ」 「その香り」 「あ、はい?」 無意識に舐めていたラズベリーキャンディを 歯で噛み潰した。 油くさい店内の半径50センチに漂う、 甘い香り。 「すみません」 店員は顔を真っ赤にすると、 素早く奥へ引っ込んでしまった。 入れ替わりに先程の年配の女性店員が 俺の対応を始め、何事もなく注文できたが。 俺は食事が終わるまで 厨房の奥からの視線を感じることになる。
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