14人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい?」
「俺。その香りが弱くて‥‥」
「えっ、すみません。飴、嫌でした?」
「そうではなくて、あの」
彼が俺の耳元に顔を寄せ、囁いた。
「発情、しちゃうんです」
「‥‥はあっ?!」
好意を持たれたとは思っていたが‥‥
遥か斜め上を行く彼の発言に、
俺は唖然とするしかなかった。
見送りのため俺と店を出た彼曰く、
自分の特異体質に気づいたのは
高校生の頃。
東京に実家のある彼は、
高校まで電車で通っていたが
ラズベリーの香りに遭遇した日は
遅刻してまでも
トイレで自己処理をするようになった。
大学に通うようになると、
対象は若い男性のみに焦点が当てられ、
+ピアスをした人に欲情したという。
確かに俺も左耳にピアスをしている。
最初のコメントを投稿しよう!