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夜のとばりが降りた街並み。
人と人の群れが行き交う、繁華街の街並み。
私と彼は仲睦まじく、その道を歩く。
彼が思い出したかのようにスマホを取り出して何やら操作している。
気になって覗き込むと、この後向かう焼肉屋の場所を確認しているようだった。
「A5ランクの国産和牛が、100g80円でたべらるのは、今日限りなんだ。年1回だけのサービスデイ。」
「ふーん」
私はがっつり肉系ではない。どちらかというと、野菜や魚が好きだ。
彼氏にがっつり肉系を選んだつもりはないんだけど、男はみんなそんなものなのかな。
店に入る。
大きなステーキ肉の描かれた垂れ幕。
さすがサービスデイ。
しばらくして、山盛りの肉が運ばれてくる。
「さーて食べるぞぉ」
彼がいう。
私が肉を届けてくれた店員を見上げると、そこには知った顔。
「隼人?」
「みさきちゃん?」
私は1年前に、派手なフリ方をした彼にバッタリ再会してしまった。
私は思わず、バッグを持って走り出す。
そして店を後にして、しばらく走った。
残された彼はどうなっているのか、気になって、スマホをチェックするが、まだ何も音沙汰がない。
雨が降り出す。
一人でぷらぷらと歩く。
「どーしよう。」
しばらくして彼から連絡が来た。
「元彼と会話した。お前、他に付き合っているやついるだろう」
そうやって言って、電話は切れた。
折り返しを何回繰り返しても出てもらえない。
それ以来、彼と連絡が全く途絶えた。
私は、スマホの中にある、すべての交際相手の連絡先を消した。
そして、あなたの連絡先も消した。
あなたが本命だったのに・・。
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