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「鈴風さん、この子ったらほんとに冷たいんですよ。遊びに誘っても全部断られるし、未だに下の名前で呼ばせてくれないし」
「ははっ。御影ちゃん意地っ張りだからなぁ」
「私はもっと仲良くなりたいのに全然距離縮めさせてくれなくて」
「なるほどねぇ。御影ちゃん昔から人見知りだし、そう簡単には直らないかもね」
鈴風はうんうんと頷く。
「昔からって、鈴風さんいつから橘のこと知ってるんですか?」
「初めて会ったのは4、5歳のときかな」
「そんな小さいときから!?」
幼少期の御影はどんな子だったんだろう。今の御影がそのまま小さくなった感じなのか、それとももっと可愛げがあったのか──
「おい、昔の話とか聞くなよ」
ひかりの心を読んだかのように、御影がピシャリという。
「え〜。子供の頃の橘気になる〜」
「気にならなくていい」
「ひかりちゃんの知らないあんな話やこんな話、いろいろあるよ〜」
「鈴風さんまでやめてください」
ひかりに乗っかる鈴風に、御影はムッとした表情を見せる。
「ちょっとトイレ」
御影は居心地が悪くなったのか、そう言って席を立った。
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