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その王子様と言われる顔が間近にあり何でこうなった?と疑問に思いつつ何とか神子氏から逃れるため彼の腕を押し除けようとするが、まぁビクともしない。
「あのさ、神子氏、これどういう状況?」
香織は焦りつつ神子氏の強い視線から逃れつつ彼に問いかける。
確か、今期の納期が無事終わり課全体でのお疲れ様会に参加していたのだ。
その後、若い人だけでダーツバーの2次会に行き、その後の記憶がまるでない。
それに、いつもは嫌々ながら参加する神子氏が2次会まで来ていたのにも驚いた。
いつも忍者みたいに姿消すくせに。
「志水、お前、離婚してから何ヶ月?」
へ?
離婚してから?
酒でふわふわしてる頭を回転させ今なんでその質問なの?と神子氏を見つめる。
うわっ。
近いと綺麗すぎて目に毒だよ。
化粧水何使ってます?て聞きたいほどにツルっとした肌は作りもんかい?と疑いたくなるし、何より顔の作りがいい。
うん。
降参です。
「あ、あのさ近いから、顔。私綺麗なものは好きだけど、神子氏レベルは眩しすぎて無理です!」と白旗を上げる。
彼はニヤリと笑い「へぇ。俺の顔面は無理なんだ。」そう含み笑いをしながら香織を見ている。
「質問答えてない。離婚して何日?」
えっと、確か8ヶ月目かな?
と口をついて出た瞬間に「じゃあ、もういいな」と彼が顎にスッと指を添えて香織の顔を上に向ける。
え?
疑問が口をつく前に神子氏の眩しい顔が近づき香織の唇が塞がれた。
パチっと目が合い「目を閉じろ」と何故か命令されいつもの仕事で言われる口調と同じだった事もあり思わず従順に従ってしまった。
ち、ちょっと
これはどうなんだろうか。
あまりに、深く淫らなキスに翻弄されて香織の足から力が抜けていく。それを見越していたのか神子氏の腕が香織の腰に回され力強く抱き寄せられた。
至近距離からの王子様オーラは勘弁願いたい。
目が開けれんて。
そんな息も絶え絶えの香織の腰をグッと掴み彼は耳元で囁く。
「お前を抱けるかって?抱けるに決まってるだろ。離婚するまでよく我慢したよ。俺も」
そのまままた彼の唇が落ちてきて香織の体はされるがままだ。
そうだ。
酔っ払ったのをいい事に気持ちが緩み、帰宅方向が一緒の彼につい話してしまったのだ。
離婚になった経緯と、自分にはそういう欲を満たす色気も何にもないらしい。という事を。
神子氏が「そんな事ないんじゃねぇの」なんて言うから、つい同情ならいらないし、もう自分は枯れるしかないから。と言ったのだ。
彼は「お前、俺の話聞いてたか?」とまだ言うので、じゃあ、自分を抱けるのか?と言った事を彼のキスに翻弄されながら思い出していた。
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