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小学校の帰り道、友達と別れて雪を踏む感触と音を楽しみながら歩いていると、周りに誰もいないはずなのに声が聞こえた。
「ねぇ、君。ボクの声が聞こえるかな?」
もう一度周りを見渡したけど、誰もいない。
気のせいかな?
「こっちこっち、下を見て」
下を見ながら見渡すと、道の端に小さい雪だるまがあった。
石ころの目と、短い枝の腕が付いている。
「もしかして、雪だるまさんが喋ったの?」
「そうだよ!」
雪だるまさんは元気よく答えた。
間違いない。僕に声をかけたのは雪だるまさんだ。
「ボクはね!魔法の世界から来たの!でも、仲間達に置いていかれて、迷子になったんだ!困っていたら偶然君が通りかかったから、声をかけたの!」
魔法の世界は絵本で見たことがある。
動物や色んな物が、僕と同じように喋る世界。
絵本だけにある世界だと思っていたけど、本当にあったんだ!
「ボクの仲間達を一緒に探してくれないかな?」
「うん!いいよ!困っている人がいたら助けてあげてって、お母さんが言ってたから!」
でも、どうやって雪だるまさんを連れていこう?
「ボクはお皿の上に乗ってるから、お皿を持つといいよ!」
よく見ると、お皿の上に雪だるまさんが乗っている。
お皿は汚れてなくてピカピカだ。
「じゃあ、お皿ごと持つね」
しゃがみながらお皿を持って、ゆっくり立ち上げる。
「落とさないでくれよ。落ちたらボクぺしゃんこになるから」
「うんっ」
落とさないかドキドキしたけど、持ち上げることが出来た。
「よし、さっそく出発だ!」
「おー!」
僕達は、雪だるまさんの仲間達を探す旅に出発した。
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