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昨日から、勇一郎が見つかったとの情報を得た、職場の後輩の知惠から何度も電話があり、その都度、見舞いに来るというのを止めているのだ。
勇一郎の無鉄砲は今に始まったことではないし、これは名誉の負傷だ。などと言うのであれば、知惠を呼べばいいではないか。と主張する圭は、知惠の心配する気持ちもわかるだけに、苛立ちを隠せないらしい。
「男前なのは知ってるって。改めて言われると照れるな」
圭の苛立ちを理解していようが、勇一郎は飽くまでも、知惠を呼ぶ気はないらしい。
「まぁまぁ、落ち着きたまえ。
それなりの内容は理解しているんだろう?」
「まぁ、新聞は読んでたからな」
え? と、隼人と圭は声を揃えた。
「まさか、潜伏中もずっと、新聞を読んでいらしたのですか?」
バツが悪そうに、あぁ。と素直に答える様子に、確信した。
「真面目に新聞を読んでいる姿で、スパイだと知られたのですね」
煎餅を銜えたまま、外國人のように両手を広げて肩を竦めた。
「お前、チンピラの振りをして潜入しているのだろう? 真剣に新聞読んでいれば疑われるのは当たり前だ」

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