14人が本棚に入れています
本棚に追加
かすかに盆踊りの曲が聴こえ始めた。
なくしたものばかりを目に焼き付けて、寂しさを連れて駅に向かう。
少しずつ盆踊りの音が遠ざかって行く。
祭りに向かう溌剌とした笑い声とすれ違う私は、もうあの頃の私ではない。
橋をとぼとぼと歩きながら、眩しい光の方に目を向けた。
暗くなり始めた空一面に広がるオレンジ色の雲が、とても綺麗だった。
言葉にならない寂しさに、ただ切なくて… 訳も分からず泣きたくなった。
もう、ここへ来る事は二度とないだろう…
そう思った。
最初のコメントを投稿しよう!