夏の終わりのオレンジ

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 まるで、奇跡みたいな再会だった。  隣の市に引っ越してきた事と、懐かしくなって夏祭りに来てみた事を話すと 「俺も一緒に行っていいかな?」  そう言って藤原君は笑った。  もうあの頃とは違う。  黙ったまま後ろ姿を見送る事なんてしない。 「うん、行こう」  そう言って私は頷いた。  群青の(とばり)が鮮やかなオレンジに下りていく。  橋の上でどちらともなく2人で並んで足を止めた。  とても綺麗だった。
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