██ ██ (25)

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 記者になってやりたかったことといえば、やっぱりスクープをとることですよね。ドラマでも、██ちゃんがスクープを連発して大活躍でしたし。それで一目置かれて、名前も売れるじゃないですか。初日からやってやろうと思いましたよ。  僕が配属された社会部は、自分と部長を入れて5人の部署でした。30歳くらいの男の先輩が2人と、1つ上の女の先輩です。もっと年老いた人もいるのかなって思ってたんですけど、皆さん若い人たちばかりで。俄然、燃えますよね。もっとぶっちゃけて言うと、追い抜けそうだなって。ともかく、配属初日はやる気満々でした。  でもね、全然ダメなんですよ。まず一人で行かせてもらえない。その女性の先輩……███さんっていうんですけど、ずっとその人の手伝いです。原稿の書き方とか、地名の勉強とか、資料のコピーとか……かったるくないですか? 僕、地元の人間なんですよ? 原稿の書き方だって検索すれば分かるし。███さん、優しいは優しいんですけど、丁寧すぎるっていうか。そういうのが3か月くらい続きましたね。  その間にも他の先輩が特ダネを掴んだり、渦中の人物に直撃インタビューしたりしてね。凄い褒められてるんですよ。自分はその頃雑用ばっかり。なんかイライラしますよね。自分の方がもっとできるのにっていう感情もありましたけど、足止めばかりしてくる███さんにも腹が立ったというか。全然注目されないことに悶々としていましたね。
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