常務秘書、野々村の決意

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「は、はい……何か急なご予定が入りましたか」 「まあね。プライベートな事なので行先は言わない。連絡は取れるようにしておくけど」 「承知しました。それではレディントン様との打合せは別の日に調整いたしますか?先方は3日ほど日本に滞在予定とのことですが……」 「うーん面倒くさいなー。じゃあさ、明後日、キミがぼくの代わりにレディントンと会ってよ。それならキャンセルしなくてもいいだろ」 「は?いや、あの、自分は……」 「新製品の売り込みに来るだけだから、別にぼくじゃなくてもいいんだよ。キミが説明を聞いて、質問して買うか買わないか判断して、最終的にどうするか決めたらぼくに報告して」 「し、しかし、自分のような若輩者がお相手をするなんて、先方が気を悪くされるのではありませんか?」 「あのさぁ野々村くん、商売人が商談の席で相手と対峙する時はさ、年齢、性別、人種……そんなのは関係ないんだよ。そいつがどんな人間であるか、が全てだよ」
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