常務秘書、野々村の決意

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「もしかして大きな仕事につながるかもしれないからよろしく頼むよ、野々村勝也くん」  それだけ言って、野々村の上司はまた窓の方を向いてしまった。話は終わり、の合図だ。野々村は失礼しますと言って常務室を出た。  なーんてね、と思う佐伯。  実はレディントンは日本に遊びに来たいだけで、商品の売り込みというのは単なる口実なのだ。一応、新製品を持って来るって言ってたので見てもいいかなーって思ってたけど、もう興味なくなった。それに、あのオッサンむさ苦しい上に、やたらベタベタ触ってくるんだよね。まあ、オッサンの相手は野々村くんにまかせよう。  そんな事より明後日の拓海くんとのディナー!!  拓海くんこと、安藤拓海は佐伯の元カレだ。とあるレセプション会場で知り合い、友人となり恋人になるまでに至ったが、ほとんど日本にいない佐伯とはすれ違いが多く、結局別れてしまった……。
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