常務秘書、野々村の決意

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 でも、最高に美味しいものを食べさせてあげるからね、拓海くん。  佐伯の頭の中にはもう拓海とのディナーの事しかなく、先ほどの野々村との会話など、記憶のカケラも残っていなかった。  一方、当の野々村といえば……。  常務の代理で重要な仕事を任された……それだけでもう誇らしげな気持ちでいっぱいだった。  思い返せばこの三ヶ月、本当に本当に過酷な日々だった……感極まる野々村。  常務はとにかく仕事が早く、一度に5~6件の業務を同時進行でこなすのはあたりまえで、それについていくために必死で努力した。  世界中を飛び回る常務について歩き、無茶な要求にも応えた。職場で夜を明かす事や終電で帰る事も日常茶飯時。しかし、どんなに疲れていても、朝は常務よりも早く出社し、当日の常務の予定の再確認と必要な準備をした。
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