それぞれの目的

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「どれか、アイス食べていい?」 「ああ。好きなのいーよ!」 「じゃあ、ピーノいっただっき!」 「あ、あたしも1個チョーダイ」 二人はソファーに座ってアイスを食べ始めた。 「でも、なにげに(かん)は鋭い・・・・かも?」 「誰の?」 「佐古(さこ)篤志(あつし)!」 「ああ。課長の話?」 「そう、彼を挑発してみたんだけど全然。キレるどころか、こっちが探ってんのお見通しって感じだったし」 「それ。ただ単に杏が探るの下手なだけじゃ・・・・」 「アイスもうやんねー」 「あ。ウソウソ!」 ピロロロ・・・・ 「あ、杏のケータイ鳴ってるよ!」 「ホントだ。」 ソファー前のテーブルにあった二つ折りケータイを杏は手にし、開いた。 「げ、雑魚課長!ゴメン、ユキ。シッ」 右手の人さし指を立てて口元を押さえるジェスチャーをしてから、杏はすぐに電話に出た。 「はい、野木崎です」 『ああ、野木崎・・・・事務所の(かぎ)持ってないか?今日朝一に来て、開けたのお前だろ?そん時鍵どこ置いた?』 「どこって・・・・」 杏はテーブルの端っこで落ちそうになっている鍵と目が合った。 「ここに、あります!てか、すぐ持ってきます!すみません!」 電話を切ると同時に鍵を飛びつかんで、ハンガーに掛かっていたトレンチコートと財布を手にして玄関を出た。
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