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「ねぇ、瑞紀。あの人、瑞紀より歳上だよね?どういう知り合い?タメ口で大丈夫なの?」
大丈夫そうだったけど…
俺がそう聞くと、瑞紀は立ち止まり、
「いいか?ゆず。もしも、万が一、あいつがゆずの前に現れても、付いて行っちゃダメだからな」
そう言って来た
「なんで瑞紀の知り合いが、瑞紀の居ない所で、俺を連れ出すんだよ?」
「あいつは、そういう奴だからだ。大体、なんであいつと話してたんだ?」
再び歩きながら瑞紀が聞いてくる
「話してたっていうか…。あの人、財布落としてったから教えてあげたんだよ。そしたら、俺のとこまで来てお礼言ってくれてただけだ」
「お礼ね…。他には?なんか言われたり、なんかされたりしなかった?」
なんか…警戒が凄い…
「俺の事迷子か?って聞いてきて、違う!人を待ってるだけだって答えたら、君、可愛いねって笑われた」
「………はぁ。どうしてお前は、俺がトイレに行ってる数分の間、大人しく待っていられないんだ?」
「は?大人しく待ってたろが!1歩も動かなかったんだぞ!」
大声で叫んで、恥ずかしかったんだからな!
「なんで1歩も動かないでトラブルを呼び込む事が出来るんだ……。もはや才能だよ」
「知らないよ。ねぇ、さっきの人って、どういう知り合いなの?」
「同じピアノ教室の奴だ。チャラい大学生だから、近付くな」
ピアノ教室か
だから、歳が違うのに仲がいいのか
いや、仲は良くないのか?
あの人は、凄く瑞紀と仲良くしたい感じだったけど、瑞紀は全然そんな感じじゃなかったな
「瑞紀は、あの人が嫌いなの?」
「………苦手だ」
「古くからの知り合いなの?」
「腐れ縁だ。前のピアノ教室からずっと一緒だからな」
前のピアノ教室って…
「じゃあ、すごい子供の頃からの知り合いじゃん!」
「まあな」
「ふ~ん…。じゃあ、もう少し優しく話してあげればいいのに」
「あいつは、優しくすると、すぐ図に乗るからな。あれ位で丁度いい」
さすが腐れ縁
なんか知り尽くしてる感じだ
「とにかく!お金あげるとか、なんか食べさせてあげるって言われても、付いて行くなよ!」
「分かったってば」
確かにチャラいけど
そんな悪い感じの人には見えなかったけどな
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