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葵~瑞紀~
金曜の夜、ゆずは友達とご飯に行ったらしい
ちゃんと母さんにメールはしているけど…
19:45
いつもなら、もう1回位連絡があってもいいはずだ
いや、友達と盛り上がってるだけなんだろうけど……
葵と会ったせいで、余計な事を考えてしまう
メールしてみようか…
いや、さすがにウザイか
「はぁ…。なんだってあいつ、あそこに居たんだ?」
たしか、海外留学が決まったって聞いたけど
「どうしてゆずは、迷子にならなくても、トラブルを呼び込むんだ…」
バタン
車のドアが閉まる音?
「ただいま~」
「おかえり~」
……嫌な予感しかしない
ゆずが車から降りた?
ゆずの友達が車の運転出来る訳がない
友達の親に送ってもらった?
ガチャ
……………………
ゆずが部屋のドアを開けて、閉める音がしない
っていうか、物音がしない
寝た?
まさか、泣いてる訳じゃないよな?
ゆっくりとゆずの部屋へ向かう
あ、寝てる
上着もネクタイも投げ捨てられて、シャツのボタンを開けてるところで、力尽きたらしい
「まったく……こんなに疲れるだけ何してきたんだよ?ほら、脱がせて……?」
ゆずの左の鎖骨の下辺りに、何か付いてる?
汚れ?
こんなとこに何付けたんだ?
………え?
ゆずの部屋のドアを閉めて電気を点ける
「ん……まぶし~い~」
ゆずが両手で顔を隠す
その左手を掴んで顔の横に置き、もう一度よく見る
「ん……まぶし……暑い~」
なんか……
ゆずの様子がおかしい
「ゆず、なあ、誰と遊んでたんだ?」
「ん~?あはっ。……瑞紀だ~」
ガバッ
ゆずから俺に抱き付くなんてあり得ない
眠いだけじゃない
酔ってる?
「ゆず、ゆず、葵と会ってたのか?」
「ん~…葵さん…もう少しで…居なくなっちゃうよ……」
やっぱり!
「なんで!あいつに会っても絶対付いてくなって言ったよな!」
「ん~~…瑞紀うるしゃい……」
「あいつに何されたんだ?何処連れてかれた!」
「なに……?どこ……やま……色んな色の光……綺麗……」
バタッ
………は?
ヴヴヴ ヴヴヴ
ゆずの携帯?
!
なんで、ゆずの携帯に『葵』の表示が出るんだ?
今日登録したのか?
「あ、もしもし?柚紀?大丈夫か?」
「………何をした」
「え?………あ、あれ?瑞紀?」
「………ゆずに、何をした」
「え~っと……あんまり大丈夫じゃない感じ?」
「何をしたって聞いてんだ。お前、留学するんだろ?お前の夢に近づいたんだよな?そんな時に、何やってんだって言ってんだよ!」
「………はっ、お前の夢?俺の?俺達のだろ?お前にとっても夢だったはずだけど?どうでも良くなったのか?その可愛い弟の傍に居られれば、あんな夢なんて、どうでも良くなったのか」
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