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「はぁ…。ほら、ゆず。パジャマに着替えたぞ?」
「ん~?…みじゅ……」
「水?喉乾いたのか?」
「みじゅ…き……仲…なお…り……」
「……多分、したよ。仲直り」
「良かったね~」
にっこりと笑っている
「お前…あいつに何されたんだよ?色んな色の綺麗な光がある場所って何処だよ?」
ま、あいつは馬鹿でガキだけど、本当に誰かを傷つけるような事はしないだろう…
「瑞紀の…嘘つき」
「何?葵」
「俺の事、好きって言ってたのに、幼稚園の先生の事、好きって言ったんだろ?」
「?言ったよ?好きだったから」
「何だよ…俺だけずっと信じてて馬鹿みたいだ」
「葵の好きは、先生の好きと違うもん」
「ふっ……う~っ…」
「泣かないでよ。葵は、僕と一緒にピアノ頑張ってくんでしょ?大人になったら、おっきなステージで一緒にピアノ弾くんでしょ?ずっとずっと一緒でしょ?」
「うっ……ひっく…ほんと?ずっと一緒?じゃあ瑞紀、離れても絶対俺の事忘れないでね?俺との夢忘れないでね?」
「忘れないよ?」
「うん!じゃあ約束のしるし」
ちゅっ
「何?」
「約束のしるしだよ。忘れないでね?」
忘れられるか
俺は、小学生になる前に
初恋の人に告白し、失恋し
頬にキスされたのだ……男に
勝手に自分で色々思い描いて
自分の思い通りじゃないと、すぐに落ち込む
あの頃から全く成長がない
そして、悪気なくあんな事をするんだ
「だから、ゆずを近付けたくなかったのに…。なんで付いてったんだよ!」
「ふふっ……良かったね~……葵しゃん……」
こいつ……
普段はあんなにチャラいのに
ピアノの事となると、途端に自信をなくす
ピアノの発表会でも、コンクールでも、自分が思った通りに弾けないと、小6頃までいつも泣いてた
そして2つ歳下の俺が慰めるんだ
あいつは馬鹿だ
完璧な奴なんて居ないのに
プロだって、本番で思った通りになんて難しいのに
それを実現する為に、努力してる自分を全く見ようとしないんだから
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